IB CASの活動選びと記録の工夫:先輩の体験談と実践ヒント
IBディプロマプログラムに取り組む多くの生徒にとって、Creativity, Activity, Service(CAS)は、学業と並行して取り組むべき重要な要素の一つです。しかし、どのような活動を選べば良いのか、どのように記録すれば良いのか、そして忙しい日々の中でどのように継続すれば良いのかと悩む方も少なくありません。
この記事では、IBプログラムを経験した先輩たちの具体的な体験談を交えながら、CAS活動の選び方、効果的な記録方法、そしてモチベーションを維持しながら活動を継続するためのヒントをご紹介します。
CAS活動選びのポイント:興味と成長を結びつける
CASの活動を選ぶ際、最も大切なのは「自分の興味関心」と「成長の機会」を結びつけることです。無理に義務感だけで活動を始めると、途中で挫折してしまう可能性が高まります。
私の体験談:偶然の出会いが情熱に
私は当初、CASの活動選びに非常に苦労しました。クラスメイトが様々なボランティアやスポーツに取り組む中で、「自分は何をすべきか」と焦りを感じていたのです。そんな時、学校の掲示板で「地域のお祭りの企画ボランティア募集」のポスターが目に留まりました。私は文化祭の実行委員の経験があり、イベント企画に少し興味があったため、軽い気持ちで参加を決めました。
この活動では、地域の大人たちと共にアイデアを出し合い、宣伝物の作成、会場設営の準備など、多岐にわたるタスクに取り組みました。最初は戸惑うことばかりでしたが、次第に役割の重要性を理解し、チームの一員として貢献できる喜びを感じるようになりました。特に、異なる世代の人々と協力して一つの目標に向かう経験は、CreativityとServiceの両面で大きな学びとなりました。
活動選びの具体的なヒント
- 既存の興味・スキルを掘り下げる: 既に得意なことや好きなことから派生する活動を探してみてください。例えば、絵を描くのが好きなら地域のアートプロジェクトに参加する(Creativity)、スポーツが好きなら地域のジュニアチームを指導する(Activity & Service)などです。
- 新しい挑戦を受け入れる: 未経験の分野でも、少しでも興味が湧けば挑戦してみる価値はあります。私のように、予期せぬ活動から新たな情熱を見出すこともあります。
- 学校や地域のリソースを活用する: 学校が提供するクラブ活動やボランティア募集、地域のNPO団体などが主催するイベントは、CAS活動の宝庫です。情報収集を積極的に行いましょう。
- CASの学習成果(Learning Outcomes)を意識する: 各活動がどのような学習成果に貢献するかを事前に考えておくと、活動の意義が明確になり、より深く取り組めます。
効果的な記録(ポートフォリオ)の工夫:日々の振り返りが鍵
CASの記録は、単なる活動報告ではありません。活動を通じて何を感じ、何を学び、どのように成長したかを振り返る「リフレクション(Reflection)」が非常に重要です。
私の体験談:後回しにした記録で後悔
私は活動中は夢中で取り組むものの、記録を後回しにしがちでした。特にManageBacの定期的な入力が負担に感じられ、数週間分まとめて入力しようとしては、詳細な記憶が薄れてしまい苦労した経験があります。結果として、簡潔な記述になり、学びを深く掘り下げたリフレクションができないことが多々ありました。
この失敗から学んだのは、「こまめな記録」と「具体的な振り返り」の重要性です。
記録の具体的なヒント
- 活動直後のメモを活用する: スマートフォンや手帳に、活動の直後に感じたこと、直面した課題、工夫した点などを箇条書きでメモしておきましょう。後で正式なリフレクションを書く際の強力な助けとなります。
- 写真や動画を積極的に残す: 視覚的な記録は、思い出を鮮明にするだけでなく、具体的な活動内容を伝える上で非常に有効です。許可を得て撮影し、ポートフォリオに添付しましょう。
- STAR法を取り入れる: リフレクションの記述に困った際は、Situation(状況)、Task(課題)、Action(行動)、Result(結果)の頭文字を取ったSTAR法を意識して記述してみてください。これにより、具体的で構造化されたリフレクションが書けます。
- Situation(状況): どのような状況で、どのような活動を行ったか。
- Task(課題): その活動でどのような課題に直面したか。
- Action(行動): その課題に対して、あなたがどのような行動を取ったか。
- Result(結果): その行動がどのような結果につながり、何を学んだか。
- 定期的な振り返りの時間を設ける: 週に一度など、定期的にCASの記録を見直し、新たな学びや成長を言語化する時間を確保しましょう。
モチベーション維持と継続の秘訣:仲間との共有と自己肯定感
IBプログラムの忙しさの中でCAS活動を継続するのは容易ではありません。時には「なぜこれをやっているのだろう」と感じることもあるでしょう。
私の体験談:友人の存在が支えに
私の場合、地域のお祭り企画の途中で、学業との両立が困難になり、活動を辞めたいと思った時期がありました。しかし、一緒に活動していたIB生の友人が「ここまで来たんだから、もう少し頑張ってみようよ」と声をかけてくれました。彼女もまた、異なるCAS活動に励んでいましたが、お互いの悩みや進捗を共有することで、孤立感を軽減し、モチベーションを維持することができました。
継続のための具体的なヒント
- 短期目標を設定する: 「来週末までにここまで進める」「〇月までにこのタスクを完了させる」といった短期的な目標を設定し、達成感を積み重ねましょう。
- 仲間と進捗を共有する: 同じIB生やCAS活動に取り組む友人と、お互いの活動内容や課題、学びを共有することは、大きな刺激とサポートになります。
- スーパーバイザーや先生に相談する: 困った時や行き詰まった時は、ためらわずに担当の先生やスーパーバイザーに相談しましょう。客観的な視点からのアドバイスが得られるだけでなく、彼らもあなたの状況を理解してくれます。
- 活動の「意味」を再確認する: CASは単なる要件をクリアするための活動ではありません。自己成長、社会貢献、新しい自分を発見するための貴重な機会です。活動の意義を定期的に再確認することで、内発的なモチベーションを高めることができます。
まとめ:CASは自己成長の旅
CASはIBプログラムの学術的な側面とは異なり、あなたの個性や人間性を育むための大切なプロセスです。活動選びに悩み、記録に苦労し、時にはモチベーションが低下することもあるかもしれません。しかし、一つ一つの体験を通じて得られる学びや成長は、将来のあなたにとってかけがえのない財産となるでしょう。
この記事でご紹介した先輩の体験談とヒントが、皆さんのCAS活動への取り組みの一助となれば幸いです。自身の興味を大切にし、積極的に挑戦し、そして何よりも活動を楽しむことを忘れないでください。